AIで月に減らせる時間は、導入前後の平均時間の差に月の実施回数を掛け、60で割って計算します。ただし、AIの処理時間だけでなく、指示、確認、修正まで含む本人の時間を、同じ範囲の仕事で最低3回ずつ測ります。
「月10時間減る」と先に決めるのではなく、7日間の記録から続けるかを判断します。毎日または週に複数回ある仕事なら7日で試せます。月1回の仕事は無理に7日換算せず、同じ手順を3回試せる期間まで測定を延ばしてください。
測る仕事を一つに絞る
最初は、入力と完成物が毎回ほぼ同じ仕事を選びます。問い合わせ返信の下書き、会議メモの整理、定型報告の作成などです。「営業を効率化する」のような大きな範囲では、どこからどこまでを測ったのかが毎回変わります。
開始と終了を一文で決めます。たとえば「問い合わせ本文を開いた時点から、送信前の返信案を担当者が確認し終えるまで」です。AIを使う前後で同じ境界を使います。
導入前に3回の基準値を取る
AIを使わない従来の方法で、本人がかけた時間を3回以上記録します。作業の待ち時間を含めるかも先に決めます。通常は、自分が手を動かした時間と確認した時間を測り、顧客からの返信待ちなどは除きます。
| 実施日 | 対象業務 | 従来の本人時間 | 完成条件を満たしたか | やり直し |
|---|---|---|---|---|
| 月 日 | 分 | はい・いいえ | 回 | |
| 月 日 | 分 | はい・いいえ | 回 | |
| 月 日 | 分 | はい・いいえ | 回 |
忙しい日の1回だけを基準にすると差が大きく見えます。最低3回の平均を使い、極端に長い回があれば原因も残します。
AI使用時は指示・確認・修正を全部測る
AIが回答を出すまでの時間だけを測ってはいけません。入力を整える時間、指示を書く時間、出力を読む時間、事実や数字を確認する時間、修正する時間を合計します。
| 実施日 | 入力準備 | 指示 | 確認・修正 | 合計本人時間 | 誤り |
|---|---|---|---|---|---|
| 月 日 | 分 | 分 | 分 | 分 | |
| 月 日 | 分 | 分 | 分 | 分 | |
| 月 日 | 分 | 分 | 分 | 分 |
本人時間が短くなっても、誤送信、数字の誤り、抜け漏れが増えた場合は改善ではありません。完成条件を満たした回だけを比較し、品質をそろえます。
月間削減時間を計算する
計算式は次のとおりです。
1回あたりの削減分=導入前の平均本人時間-AI使用時の平均本人時間
月間削減時間=1回あたりの削減分(分)×月の実施回数÷60
例として、導入前40分、AI使用時25分、月8回の仕事を考えます。1回あたりの差は15分です。15分×8回÷60=月2時間になります。これは計算例であり、NoBorderの顧客実績や効果保証ではありません。実際の値は、自社の記録で置き換えてください。
差がマイナスなら、削減時間を0として扱います。AI導入で時間が増えた事実を隠さず、入力、完成形、確認表のどこを直すかを検討します。
7日間の進め方
- 1日目:対象業務と開始・終了、完成条件を決める
- 1〜3日目:従来方法の時間を3回測る
- 4日目:AIへの入力、完成形、人の確認表を作る
- 4〜7日目:AI使用時の本人時間を3回測る
- 7日目:平均時間、修正回数、誤りを比べて判断する
対象業務が毎日発生しない場合は、日数を伸ばします。7日という期限を守るために別の仕事を混ぜると、比較できません。
そのまま使える測定の依頼文
AIへ仕事を頼む前に、次の依頼文で完成条件と確認点を固定します。
次の入力から[完成物]の下書きを作ってください。目的は[目的]です。形式は[箇条書き/表/メール案]にしてください。入力にない数値、固有名詞、約束を補わないでください。不足は質問として分けてください。人が確認する項目は[数字/固有名詞/期限/送信可否]です。入力:[秘密情報を除いた入力]
同じ依頼文を3回使い、毎回変えた箇所を記録します。改善点を残せば、次回の指示文と確認表を使い回せます。
時間以外に確認する4項目
- 修正回数:完成まで何回直したか
- 誤り:数字、固有名詞、事実関係の誤りがあったか
- 本人しかできない判断:価格、契約、送信などが分離されているか
- 再現性:別の日も同じ入力と確認表で進められたか
時間が少ししか減らなくても、抜け漏れが減り、同じ手順を担当者へ渡せるなら価値がある場合があります。反対に時間だけ減って誤りが増えるなら、対象業務か手順を見直します。
AIに任せない範囲
測定期間中も、顧客への送信、公開、削除、支払い、契約、価格変更、個人情報の外部送信は自動化しません。AIの出力は下書きで止め、人が完成条件と安全項目を確認します。利用するAIへ実データを入れる前に、契約、設定、社内ルールも確認してください。
続ける・直す・やめるを決める
7日後は、次のいずれかを選びます。
- 続ける:本人時間が減り、完成条件と安全項目を満たした
- 直す:時間は減ったが、確認や修正が多い
- やめる:本人時間が増えた、または重要な誤りを防げない
うまくいかなかった記録も材料です。別のAIツールを増やす前に、入力が不足していないか、完成形が曖昧でないか、確認項目が多すぎないかを見直します。
まとめ:期待ではなく本人時間を測る
月間削減時間は、導入前後の平均本人時間の差を月の回数へ換算して求めます。指示と確認を含め、同じ範囲を最低3回ずつ比べることが大切です。まず一つの仕事を7日間測り、時間、修正回数、誤りをそろえてから続けるかを決めてください。
対象業務を決める前なら、AI業務棚卸しの5列表から始められます。測定後の改善は、最初の1業務を30日で試すロードマップへ進めます。
測る業務を一つに絞りたい方へ